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虫にも腸内細菌が住み着いている!ホソヘリカメムシと腸内細菌の関係

皆さんは、小さな虫にも腸内細菌がいることを知っていますか?

私たち人間や動物の腸内に様々な種類の細菌が住んでいるように、昆虫の体内にも多くの微生物が共生しているのです。

今回は、大豆の害虫として知られるホソヘリカメムシに注目して、昆虫の腸内細菌がどのようにかかわっているのか探っていきます。

昆虫と獲得免疫

獲得免疫とは、一度特定の病原体と出会うことで、その病原体を記憶し、次回の感染時により効率的に排除する免疫応答のことです。

哺乳類の獲得免疫系は、T細胞やB細胞といったリンパ球が中心的な役割を果たしますが、昆虫にはこれらの細胞は存在しません。

その一方で、昆虫が様々な感染症に抵抗力を持つことは明らかとなっています。

昆虫の免疫機能の一端を担っているのが、共生している腸内細菌なのです。

 

ホソヘリカメムシの秘密

大豆の重要害虫であるホソヘリカメムシについての研究を見ていきましょう。

国立研究開発法人 産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 菊池 義智 研究グループ長がフランス国立科学研究センターと共同で行った研究を紹介します。

大豆農家にとっては頭の痛い存在であるホソヘリカメムシ。

ホソヘリカメムシは成虫・幼虫ともに大豆の実を直接吸って、生育を阻害します。

特に、九州などの西南暖地ではその被害が深刻で、農業生産に大きな損失をもたらしています。

しかし、この害虫にも意外な一面がありました。

それは、ホソヘリカメムシが土壌中の微生物と共生することで病気に強くなっているかもしれない、ということです。

 

土壌微生物との共生がカギ

1グラムの土の中には、なんと10万種類を超える多様な微生物が生息しています。

ホソヘリカメムシが土壌と一緒に飼育されると、これらの微生物を体内に取り込み、腸内に住み着かせていることが明らかになりました。

さらに、様々な種類の微生物をホソヘリカメムシに与えて実験を行った結果、ある特定の細菌が特に大きな効果をもたらすことが分かりました。

それが、土壌に広く分布するBurkholderiaの細菌です。

この細菌を与えられたホソヘリカメムシは、病原菌に対する抵抗性が大幅に高まり、生き残りやすくなることが確認されました。

 

免疫系を活性化させるメカニズム

なぜBurkholderia属細菌がホソヘリカメムシの病気に強い体を作るのでしょうか?

その秘密は、ホソヘリカメムシの免疫系にあります。

この細菌を取り込むと、ホソヘリカメムシの体内で免疫に関わる遺伝子の働きが活発になり、いわば免疫力がアップするのです。

まるで、体内に優秀なガードマンを配置したような状態になることで、病原菌から身を守ることができるのです。

 

まとめ

昆虫も人と同様に腸内細菌と共生しており、ホソヘリカメムシは共生する腸内細菌が病気から身を守っているのです。

その他の研究では、腸内細菌が昆虫の栄養吸収、免疫応答、発育、さらには行動までを制御する重要な役割を果たしていることが明らかになりつつあります。

ただ、この分野に関する研究は、未解明な部分も多く残されています。

この分野の研究が進むにつれて、私たちの生活を大きく変えるような革新的な害虫対策技術、持続可能な農業の実現や、人類の健康な生活の実現に貢献するといえます。

今後も重要な研究分野として、ますます注目を集めるでしょう。

 

参考文献

論文タイトル:Ingested soil bacteria breach gut epithelia and prime systemic immunity in an insect

著者:Seonghan Jang , Kota Ishigami , Peter Mergaert , Yoshitomo Kikuchi

DOI:https://doi.org/10.1073/pnas.2315540121

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